※これは検討中のテーマです。一旦机上検討で決めたサイズを、避難所開設訓練でのコメントを受けて、再度実験して見直そうとしています。
トイレで使用した携帯トイレ(非常用トイレ、簡易トイレなどの呼び名があります)の便袋は、ゴミ箱にかけたビニール袋の中に捨てます。
そのビニール袋は、避難所の決められた場所に貯蔵して、地方自治体のごみ回収の日に回収してもらいます。
(松戸市では、便袋やおむつは可燃ごみ袋に入れ、可燃ごみ袋の回収日にた回収されます。)
避難所でのトイレ備品購入のために、必要なビニール袋のサイズと、ごみ箱のサイズの適正サイズを計測します。特にゴミ袋は大量に必要ですので、潤沢とはいえない予算の中での購入するため、慎重にサイズを確認しておく必要があります。
排泄物の代わりに、水、紙粘土、トイレットペーパーを使用して便袋に凝固剤を入れて実測します。




防災研究・ガイドラインでの数値
防災研究・ガイドラインにおいて、使用済み便袋の重量、体積の報告として、以下があります。
内閣府「防災情報のページ・避難所の確保と質の向上に関する検討会・第4回検討会」 「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン(案)」、「災害時のトイレの必要数計算シート」
| 項目 | 1回あたりの数値 | 算定根拠・内訳 |
| 重量 | 約 300 g 〜 400 g | 平均排尿量(200〜300ml)+便量(100〜150g)+凝固剤・ポリマー・袋自体の重さ(約10〜20g) |
| 容積(体積) | 約 0.4 L 〜 0.5 L | 空気を抜いてしっかり結んだ状態の1袋の体積 |
※水分・大便量には個人差がありますが、この内閣府の報告では上記の平均排泄量を前提に計算されています。
使用済み便袋を入れる袋の条件
地方自治体によって、便袋を入れるゴミ袋を回収するための袋の種類、サイズ、何のゴミとして回収されるのか、その他の条件が異なります。
千葉県松戸市では、便袋を入れる袋は以下の条件を満す必要があります。
- 松戸市指定の可燃ごみ袋であること。(容量は 小10ℓ、中20ℓ、大30ℓ、特大45ℓの半透明のポリ袋)
(オムツを入れるのと同様です。指定外の袋を使用しても回収されません。)
松戸市指定の可燃ごみ袋の説明はこちら - 大人一人で持ち運び可能な程度の重量にする
(重すぎると、ごみ回収作業ができません) - 袋が破れないよう、容量に余裕を持って入れ過ぎに注意袋が破れない程度に入れること
(袋が破れて便袋が散乱すると困ります) - 口をしっかり縛ること
(便袋がこぼれ落ちると困ります) - 袋を2重にしないこと
(安全に回収するために、内容物が見える必要があります)
松戸市の可燃ごみ袋のサイズ
これは松戸市の基準の例です。乳白色の半透明のポリエチレン製の袋で、厚さが0.025mmと定められています。
松戸市の認定袋の認定基準はこちら
| 容量 | 縦 | 横 |
| 特大 (45ℓ) | 80 cm | 65 cm |
| 大 (30ℓ) | 70 cm | 50 cm |
松戸市の可燃ごみ袋の強度の条件
低密度ポリエチレン:縦、横とも、16.7MPa(170kgf/c㎡)以上
高密度ポリエチレン:縦、横とも、29.4MPa(300kgf/c㎡)以上
ごみ袋の重さの上限
兵庫県神戸市では可燃ごみは片手で持てる重さの上限を5Kgとしています。長野県千曲市でも可燃ごみの重さ上限を5Kgとしています。
千葉県では、千葉市、船橋市、柏市、市川市では、可燃ごみの重さの上限の数値は見当たりませんでした。東京都葛飾区、台東区も重さ上限の数値見当たりませんでした。松戸市に可燃ごみの袋の重さの助言を質問しましたが、大人が運べることが条件ですが、具体的な重さ上限数値は定めていないとのことでした。
ちなみに調べた範囲では、可燃ゴミ袋の仕様を決めている自治体では、大きなサイズは30ℓ、45ℓであることが多いようです。
入れられるゴミの重さの理論的な上限は、30ℓの袋の場合は、安全強度を4~5倍とすると低密度ポリエチレン袋は8~10Kg、高密度ポリエチレンでは15~19Kgです。ですが、乱暴に袋を扱った場合は、袋は破れやすくなります。ごみ置き場に置く時にポーンと投げてしまえば袋が破けるリスクは高くなります。また、片手で無理なく運べる重さの上限は、避難所内では年配の女性もゴミ袋を運ぶ必要があることを考えると、あまり重くすべきではないでしょう。
例えば、お米の袋は形が定まらないために、お米5Kgの袋は運べても10Kgの袋を運ぶのはかなり大変になります。便袋を入れるごみ袋の重さは、お米の袋を基準に考えるとわかりやすいと思います。
これらを勘案して、松戸市六実二小避難所の運用ルールとしては、便袋を入れる可燃ごみ袋の重さ上限は約5Kgとすべきと考えています。
便袋の体積と、便袋を入れるごみ袋の容量
ごみ袋は、袋を余裕をもって締められる必要がありますので、袋容量ギリギリに入れるのではなく、重さの上限の範囲で5~6割程度入れる位が良いと考えます。袋のサイズが大きいと沢山の量を入れたくなり、重さ上限5Kgを超えがちになります。
当避難所の運用ルールとしては、重さ上限約5Kgも考慮すると30ℓの袋が適切であると考えます。
内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」から、便袋1個の重さ300~400gとすると、
30ℓの袋に入れられる便袋の個数は、重量から計算すると12~16個です。
次に便袋の体積を測定して検証してみます。
便袋の体積測定実験
色々な体格、色々な年齢の男女の実際の排泄物を使用した測定実験は難しいために、排泄物の代わりに水と紙粘土を使用して便袋の体積測定実験を行います。排泄量の個人差、水や食事の摂取量を変えたセットを作って実験します。
使用材料
携帯トイレのセット商品を使うと価格が高くなるので、一般のビニール袋と、凝固剤だけを別々に買ってテストしています。
携帯トイレの商品名は、簡易トイレ、非常用トイレなど色々あります。
- 松戸市指定の可燃性ごみ袋・サイズ大(30ℓ, 横50cm×縦70cm) 1枚
- 市販の携帯トイレにセットされている便袋(横65cm×縦50cm、重さ8.5g) 20枚
※市販20ℓポリ袋(横50cm×縦60cm、重さ8g) 20枚 で代替 - 市販の携帯トイレ用凝固剤 (7g) 20袋
- 計量した水
- 紙粘土2Kg (多少吸水していて、密度が低すぎないもの)
- トイレットペーパー
トイレットペーパーの使用量 (日本トイレ協会調査結果)
日本トイレ協会が2019年に実施した調査では、トイレットペーパーの使用量は以下のように報告されています。使用されたのはシングルのペーパーです。使用前後に便器を拭く量は含まれていません。
別の調査では、1回に手にとるトイレットペーパーの長さは平均約80cmと報告されています。以下の表は1回のトイレで使う総量ですので、複数回手にとったトイレットペーパーの合計量です。トイレットペーパーは使用量が多いため、便袋の中でかさをとります。
| 性別 | 大便 | 小便 |
| 男性 | 3.15 m | 使用しない |
| 女性 | 3.52 m | 1.45 m |
| 男女同数の場合の平均 | 3.34 m | 0.73 m |
日本トイレ研究所や各種自治体の防災計画実証研究では、集積現場において以下の点が指摘されています。
- 「かさばり(隙間容積)」による容積の増大
便袋を結ぶ際に空気が残っていたり、大きなまとめ袋(45L袋等)に詰めて保管したりする場合、袋同士の隙間ができるため、理論上の容積の約1.3〜1.5倍の保管スペースが必要になります。
排泄のモデル (水と粘土のセット)
実験のために以下の前提で測定しました。避難所生活では、通所生活とは違い食料や水が潤沢ではないと想定しています。
- 実験では、小便は水、大便は紙粘土で代替します。
- 重量5Kgの誤差10%になるように、便袋のモデルを作成します。
- 排泄は1人1日5回(大便1回、小便のみ4回の割合)とします。
- 便袋20個のモデルAの内訳は、小便のみ16個、大便あり4個とします。
便袋15個のモデルBの内訳は小便のみ12個、大便あり3個とします。 - 小便のみの便袋には、女性が半数であると想定して、半数の袋にトイレットペーパーを1.5m入れます。
- 大便ありの便袋には、トイレットペーパーを3m、3.5m、5mをそれぞれ入れます。
シングルのトイレットペーパー1m当りの重さを1.6gとします。 - 便袋の重さは実測値で 8gのものを使用。
- 携帯トイレ用凝固剤 の重量は7gのものを使用。
モデルA (研究結果に基づくモデル)
日本人を対象とした排便重量の研究「日本人の排便重量に関する研究(1986年)」島田明「Eating habits and bowel transit time」および、日本トイレ協会調査「トイレットペーパーの使用量」を参考にして、測定モデルAを作成しました。
| 番号 | 種類 | 水 | 紙粘土 | 個数 | トイレペーパー |
| A1 | 小便のみ | 150g | なし | 3 | 内2個に1.5mを入れる |
| A2 | 小便のみ | 200g | なし | 4 | 内2個に1.5mを入れる |
| A3 | 小便のみ | 250g | なし | 5 | 内3個に1.5mを入れる |
| A4 | 小便のみ | 300g | なし | 3 | 内1個に1.5mを入れる |
| A5 | 小便のみ | 400g | なし | 1 | なし |
| B1 | 大便あり | 100g | 100g | 2 | 3.5m |
| B2 | 大便あり | 100g | 200g | 2 | 3.5m |
モデルAの平均重量と合計重量は以下の通りです。
| 種類 | 個数 | 水の平均重量 | 紙粘土の平均重量 | 便袋全体の平均重量 |
| 小便のみ | 16 | 237.5g | 0g | 253.8g |
| 大便あり | 4 | 100.0g | 150.0g | 271.0g |
| 全体平均 | 20 | 210.0g | 30.0g | 257.2g |
| 全体合計 | 20 | 合計 4.06Kg | 合計 1.08Kg | 合計 5.14 Kg |
モデルB (内閣府の目安に合わせたセット)
内閣府の「災害時のトイレの必要数計算シート」に基づいて、測定モデルBを作成しました。
これは、重量の安全側を確認するセット(便袋の重量の平均300g、最大約400g)になります。
| 番号 | 種類 | 水 | 紙粘土 | 個数 | トイレペーパー |
| A1 | 小便のみ | 200g | なし | 2 | 内1個に1.5mを入れる |
| A2 | 小便のみ | 250g | なし | 2 | 内1個に1.5mを入れる |
| A3 | 小便のみ | 300g | なし | 3 | 内2個に1.5mを入れる |
| A4 | 小便のみ | 350g | なし | 4 | 内2個に1.5mを入れる |
| A5 | 小便のみ | 395g | なし | 1 | なし |
| B1 | 大便あり | 150g | 100g | 1 | 3m |
| B2 | 大便あり | 150g | 150g | 1 | 3.5m |
| B3 | 大便あり | 155g | 200g | 1 | 5m |
モデルBの平均重量と合計重量は以下の通りです。
| 種類 | 個数 | 水の平均重量 | 紙粘土の平均重量 | 便袋全体の平均重量 |
| 小便のみ | 12 | 299.6g | 0g | 315.9g |
| 大便あり | 3 | 151.7g | 150.0g | 323.2g |
| 全体平均 | 15 | 270.0g | 30.0g | 317.3g |
| 全体合計 | 15 | 合計 3.79Kg | 合計 0.97Kg | 合計 4.76Kg |
ゴミ箱のサイズ
次に約5Kgのごみ袋を入れるための、ごみ箱のサイズを決める必要があります。
ゴミ箱は以下の条件を満たす必要があります。
- (松戸市では)可燃ごみ袋30ℓのポリ袋が1重に掛けられること。(2重にしないこと)
- ゴミ箱は臭いがしないようにするために、蓋がついていること
- 衛生上、ゴミ箱に手を触れずに蓋を開けられるために、ペダルを踏んで開けられるようにする。
- 30ℓポリ袋に詰めた便袋が、重さ5Kg程度になった時にちょうど一杯になること。
5Kg以上は便袋を入れないというルールを守るためには、5Kgに達したらちょうどゴミ箱が一杯になる必要があります。
便袋を入れる際に、ゴミ箱が一杯になって蓋が閉められならない状態にならないようにします
上記の条件から、15ℓまたは20ℓのゴミ箱が適切なサイズと想定しています。
モデルAとモデルBのサイズで実際に便袋を入れた状態で、適切なごみ箱のサイズを検証します。
実験結果
2026年10月中に実験をして、結論を出す予定です。